ウラノスの憂鬱 - 本(ライトノベル)

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All you need is kill


All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)All You Need Is Kill (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2004/12/18)
桜坂 洋

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この前、本屋に行って前から読みたかった本を買った。意思疎通することができない宇宙人と戦う人類という僕の好きな設定である。といっても僕が知っているのはマブラヴくらいだが。そのうち、元祖である「エンダーのゲーム」と「終りなき戦い」を読む予定だ。主人公のキリヤ・ケイジは敵に勝つまで、永遠とループしなければならない。最後にキリヤ・ケイジは選ばなくてはならない。同じ状況に陥っているリタ・ヴラタスキと永遠に一方的な出会いを続けるか、どちらか一方のみが今の状況を抜け出すか。ループ物や、平行世界物では、同じ条件ならば、同じイベントが起こる。最初、主人公はよりよい選択をしようと何度も違う条件を試し、よりよい世界を導こうとする。しかし、最後はそんなことはできないと知ってしまう。この人と付き合うべきか、この人を助けるべきか、この人を見殺しにするべきか。違う世界を知っているが故に最善の道があると思ってしまう。自分の記憶が無いなれば、最善の道はあるかもしれない。しかし、記憶が残っているとしたらどうだろうか。その世界で自分だけがこれから起こることを知っているとしたら。無数ある世界のうち、全ての選択肢の経験は一回性ではない。つまり、死を終点として一回性を生きる生は無くなる。最愛の人との出会い、諦められるはずの死。全ては選択可能な世界のひとつとでしか解釈されない。様々な世界が選択可能である状況(広い意味では現実も)のとき、一回性は尊いものなのだろうか。「時をかける少女」でそのようなシーンがでてくる。最後のシーンで千秋が未来に帰るとき、自分たちが乗っているはずだった高校生のカップルが土手を通り過ぎる。本来はその二人は千秋と真琴で、千秋が真琴に告白するはずだったのだ。真琴は泣く。いくら、世界を選択することができても、最初の一回はもう経験できない。シャイな千秋が自分に好意を伝えてくれた。自分がその気持ちに応えられるのはその一回きりしかないのに、ループして逃げてしまったわけだ。右に行くか、左に行くか、それだけでも死ぬべき人間はその結果を受け入れなけばならない。だからこそ、どのようなつまらない経験や人生も後から振り返ると、驚くほど、美しい結晶になっていることがあるのだろうと思う。